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わが心の栞(しおり)

 この「わが心の栞(しおり)」は、最近の’技術開発’とか’ものづくり’、 ‘事業経営’と’マネジメント’、そして ‘今日の世相’ とか ‘私たち人間や社会’ 、又 ‘ものの本質’ というようなことについて、私の日頃の徒然の思い、私の胸に深く刻まれた金言玉句を、断片的に綴ったものである。

 もともとは1982年、弊会が発足とともに発刊した弊会会報(現在休刊)の巻頭言として掲載した私の心の断片を整理、加筆したもので、2002年、弊会発足20周年記念特別出版叢書「ものづくり・科学技術創造立国 日本復活への指針」に「後書に代えて」と題して掲載した。つたない思いであるが、ご寛容をもってご笑覧いただければ幸いである。

 

ー わが心の栞 ー

感動 愛 希望 夢 未来 可能性

愛と夢 感動が全ての原動力

鍬を手にして夢見る人(リリエンソール;David E. Lilienthal)

悲しみも 怒りも いつか祈りにも似た夢になる

先ずは確固とした時代観と定見 そこから本質に根ざしたイマジネーションが生まれる

時代観とは 本来独自のもの

忘れてならないのは 時代を創っているのはわれわれ自身なのだ ということだ

全てを動かし変えるのは 情熱と意思 誠意 そしてモラル

言葉は大切 核心は的確な言葉を見出したとき捉えられる

生活者 それでは生活者の反意語は何ですか?

毛筋一筋 紙一重の違いが 実は天地の隔たり

全体を一つの思想 美意識で貫く

揺るぎないもの

芯と軸

徹底出来るか出来ないか そこが全ての決め手

証上に万法を顕らしめ 出路に一如を行ず(道元)

本質は 常に今 そこに顔を出している筈だ

掛け替えのない多様な伝統と固有の文化 そして歴史

伝統と個性 それは現わすものでなく 現われて来るものだ

個性と自我は異質のもの

我を忘れているとき 個性が現われる(川喜田二郎)

美と伝統は鋳型の中にない

われわれの核となるものは 各々の民族が各々の歴史の中で培い 発展させて来た そして今われわれの内にある この精神と美意識 感覚をおいて他にない

遠い記憶を呼び起こす この無性の懐かしさ 心の安らぎ 魂の震えは何処から来るのか

日本は美の中に真理を 真理の中に美を見抜く視覚を発展させて来た そのことを あなた方日本人に再び思い起こさせることは 私のような外来者の責任であると思います 

日本は 明確で 完全な何ものかを樹立して来たのです それが何であるかは あなたがたご自身よりも 外国人にとってもっと容易に知ることが出来るのであります

それは紛れもなく 全人類にとって貴重なものです それは 多くの民族の中で日本だけが 単なる適応の力からではなく その内面の魂の底から生み出して来たものなのです(ラビンドラナート タゴール;Rabindranath Tagore)

技術と’もの’ の背後にある 文化固有の美意識と価値観

不規則の中に美が現れる

不純物 夾雑音といわれるものが深みを生んでいる

持ち運べる音 持ち運べない音(武満徹)

刹那に生きることを強いられた 今日の‘もの’たちの悲哀と素顔

日々変わり 今日のものは明日はない

最近のものづくりに忘れられている ‘丹精’への期待と 時が磨き上げる美しさ

和紙は 年とともに 品格と風格を増し 美しく老いていく(安達以乍牟)

歳月とともに品格と風格を増し 美しく老いていく そのような素材と製品 私たちを取り巻く世界を 再び取り戻していけないものか

ものに求められている品位 感動と充足感

ものに映る つくり手の精神と内面の魂 手先 息づかい

普遍性 経済合理性の追求が いつか切り捨て 振るい落として来たものの大きさ

技術が 経済の手段に成り下がっていないか(榮久庵憲司)?

遊び 間 空白…

地球にやさしい? 何と身の程を知らない 軽い言葉だろう… 自然に対する畏怖 畏敬の念を取り戻さないと 自然はおろか私たち人間の心が 今に取り返しのつかないことになってしまう

人間の知恵というものが もっと自然のいのちを憶い 怖れるところから生み出され もっと自然と人のいのちが輝く方向に使って行けないものか

最近よく使われる 差別化という言葉

送り手の熱い思い 確固とした志から生み出されたものでなく 目先の競争と差別化が目的で生まれて来た技術 製品がどうして人々の感動を呼び そこに携わる人々の心を結集して行くことが出来るだろうか

「いのち」あるものを感じられず 背後にそれを生み出して来た人々の熱い思い ひたむきさ 精神性 そして其処に生きて来た人々の歴史を感じられないものを生み出し 囲まれつづけると 人はいつかそれに慣れて 心を荒廃してしまう

企業の命とは 企業規模の大小 ビジネスの如何を問わず それは企業が持つ夢と精神 この企業 或いはこの組織をこうあらしめたいと願う トップの強烈な欲求 その実現への揺るぎない確固とした意思である

技術・製品・事業・企業文化というものも この初めにある企業 そして そこに携わる人々の夢とフィロソフィー 精神の結晶に他ならない

如何なる事業を経営するにも その産業について独自の定見が不可欠である 同じ産業に属すると見られる企業の間に その産業についての考え方に違いがあれば それは最も強力 かつ決定的な形で 相互の競争力として現れる傾向にある
(スローン;Alfred P. Sloan Junior / With General Mortors)

最近 何故皆んな「自分の目の黒い内に…」とばかり 考えるようになってしまったんだろう

壮大な夢 悠久への眼差し

ものづくり 経済の世界に 迎賓の心を回復すると 世界が革新的に 豊かに広がらないか…

最近 厭われる街路樹の落ち葉 子供たちの歓声

全てが明るく照らされて 何も見えなくなってしまった

求められている 人類と地球の未来に貢献出来る 豊かな価値の回復と創造

次の世代に手渡すべき松明…

(新経営研究会 代表 松尾 隆)

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