第1章

新しい文化を生んだウォークマンの開発と未知の市場創出

ソニー(株)オーディオ事業部 ラジオ部商品企画課 統括課長 手塚多吉氏


ウォークマンの着想と開発プロセス
  

手塚多吉氏

小型・軽量・高性能・パーソナル化がソニーの原点

模索していたテープレコーダーの新しい方向

井深、盛田、二人の目にとまる

予感された、新しいヘッドフォン・オーディオの面白い展開

ゼンハイザーを抜く小型・軽量ヘッドフォンの開発へ

競合事業部との連携なる

会長室で若い世代の企画会議
  ― この新しいテープデッキでどんな遊び方ができるか ―

盛田会長から打ち出された戦略価格

当時のオーディオ市場

狙った若者ターゲット


新市場創出への挑戦

当初は、社内外から総スカン

録音機能がないテープレコーダー?

交錯する不安と自信

考え抜いた末のネーミング「ウォークマン」

未知の新市場創出
  ◇発売予告広告を優先 ◇記者発表も体験で
  ◇社内デモンストレーション ◇芸能人へのプレゼント
  ◇PRのPR ◇テレビ局とのタイアップ
  ◇万葉集ガイドテープ ◇ビスコンティの生涯
  ◇コンサート協賛 


予想された後追い商品と成熟化

「ウォークマン Ⅱ 」のターゲット

年間二百万台の部品確保と生産体制

若い人の使い方に応じたさまざまな改良

ウォークマンが拓いたヘッドフォン・オーディオ市場

ウォークマンⅡの新たなアピール

ウォークマンの海外市場戦略

最初から考えられていた成熟化への対応戦略

地域別テスト・マーケティング


ウォークマンの機能強化と多面展開

徹底した音揺れ防止の実現

  • 動防水スポーツウオークマン
  • プレミアムヘッドフォン
  • 専用スピーカー
  • キャラクターグッズへの自然展開

ウォークマンの今後、四十四億人の世界人口


質疑および意見交換

「遊びの要素」への井深、盛田両氏の共感がすべての出発点

独創的広告、PR活動はどのようにして生まれたか

社内外の抵抗の中でヒットを確信

量産を信じたトップの価格設定

ウォークマンを支えた技術の磨き込みと生産技術革新

夢の実現に燃えた、自由闊達なプロジェクトチーム

ウォークマンの海外展開

第2章

企業の存亡を掛けた宅急便の事業化

元ヤマト運輸(株)代表取締役専務 都築幹彦氏


都築幹彦氏
変革を求められていた運輸業
  ― 限界産業目前の危機 ―
  オイルショックで露呈した業界の体質
  強いられていた利用者の不便
  忘れられていたニーズの実態把握
  先例のない宅配便の事業化への決断
   ―生き残りをかけて背水の陣 ―

運輸事業の革新

システム産業への挑戦

サービスの革新

  ◇個別家庭集荷の決意
  ◇全国翌日配達の実現と配達日の明示 
  ◇わかりやすい料金の明示
  ◇荷物預かり証の発行

価格政策、その基本思想

PPで情報入力©ヤマト運輸
  ◇サービスの革新こそコストダウンの決めて
  ◇逆転の発想=赤字も集れば黒字になる 


システム先行でゴー! の決断 

 ― 企業存亡をかけた二つの決断 ―

保険は掛けない !

重要だった労組の理解と協力

日常業務における革新

  ◇運送業初の女性活用
  ◇積極的な中高年層の活用 
  ◇テレビCMで社員に自信と誇り


宅配便拡大への三つの戦略

市場を絞り、業態をはっきりさせる

三つの基本戦略

 情報ネットワーク・システムの構築

  宅配便は情報・システム産業

ダントツ三カ年計画

教育こそ、最大の戦略課題

今、ふり返って

都築幹彦氏へのインタヴュー(1999年)

 ヤマト運輸を変えたい!

 小倉社長から宅配便事業化の相談を受ける

 宅急便の事業化に立ちふさがった難関

 不可欠な労働組合の理解と協力 

 規制との闘い

  • 運輸省への日参
  • 直面した地元同業者の反対、大きなハードル
  • 十年ぶりに開かれた公聴会、認可が下りる!

生涯の感激!

十五年目に達成出来た全国直営ネットワーク

粟檜原誠氏(労組委員長)へのインタヴュー(1999年)

宅配便構想の打診、組合はこぞって反対

労組の決断、宅急便の事業化に協力

こみ上げてくる感動…、宅急便やってよかった…!

第3章

ホンダジェット開発への夢と苦闘

ホンダエアクラフトカンパニー 社長 藤野道格氏 


藤野道格氏
固定観念を打破したホンダジェットの開発経緯

ハードウェアの側から世の中を変えていく

ホンダが挑んだ独自の航空機開発

 ホンダ独自の翼型の開発

   多くのメリットがある厚い翼型

 赤外線カメラで層流状態を計測
   実現出来た低燃費ジェット機の創出

 これまでのタブー、主翼上面へのエンジン搭載


多岐にわたる試験と性能確認

風洞試験で確認した操縦安定性と失速特性

ホンダ独自のフライト・シミュレーターによる実証

振動特性と力を注いだ設計と試験

胴体に関するさまざまな工夫と試験

地上滑走時の乗り心地とランディングギアの工夫

スペースの有効活用を徹底させたシステム設計


TT-33を改造した機体の飛行試験
©本田技研工業㈱
いくつもの固定観念を打破した基本設計

現場作業も含めたアメリカでの修行

1997年、プロポーザル提出

抵抗と重量を下げるのが決め手

設計の固定観念を打破

 翼を面の集まりと考える

圧力を設計して最適化

設計者が避けてきた剥離を意図的に起こす

翼と機体と、それぞれが理想を目指す問題点

部分最良でなく、全体最良へ

空力干渉を積極的に活用して抵抗低減


航空機開発の思想とホンダのマネジメント

アメリカで知った〝チャレンジ精神は歳ではない

原点に戻り、本質を理解することの重要性

成熟産業での新発想の難しさ

成果評価より、社会貢献への動機づけ

スペースの有効活用を徹底させたシステム設計


航空機の開発とはいかなるものか

リーダーは絶対、ジーザスクライスト

新技術を二つ以上入れても失敗させない

チームワークにおける日米の違い

偶然のめぐり合わせ


質疑と意見交換

ランディングギア、フラップ担当も構造、空力に動員

プロジェクトリーダーはマルチスペシャリスト

早かった論文発表

パイロットに惚れられる飛行機

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