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光をコアに未知未踏領域に挑み続けて

と き:2007年6月26日
講 師:浜松ホトニクス株式会社 代表取締役社長 晝馬輝夫 氏
コーディネーター:LCA大学院大学 副学長 森谷正規氏
 

 「21世紀フォーラム」の第三回では、浜松市に浜松ホトニクス、中央研究所を訪ねて、晝馬輝夫会長兼社長のお話をお伺いし、研究所の主な研究成果を見せていただいた。浜松郊外の丘陵地の頂上という見晴らしが良い素晴らしい立地であり、浜松ホトニクスの社業の威勢の良さを思わせるものだ。隣接してPET検診センターがあり、この革新的な医療設備でガンや認知症の診断、早期発見の医療活動を行っていて、カミオカンデ、スーパーカミオカンデを越える浜松ホトニクスの新しい領域開拓を示している。
   晝馬会長のお話は、宗教心から始まった。キリスト教は心の底から信じ込んで、絶対的な愛を持つべきものであり、仏教よりはものづくりに向いているとの説を述べられた。福音書を毎夜お読みになっていらっしゃるとのことであり、実業に偉大な成果を上げた方の進む方向として、深く思わせるものがあった。それは、晝馬会長が成し遂げられたこれまでのお仕事ともかかわってくるように思う。光技術を通して新しい産業を興す、その先頭に立つのだという強固な信念をお持ちであり、それは、人の役に立つ新しい技術を開発すれば、それを用いて儲ける企業が次々に生まれて自ずから産業が発展して、自分たちも業が成り立っていくというものである。まず、人を思い人の役に立つというのは、宗教の基本である。
   東京大学の小柴昌俊博士がノーベル賞を受賞されたカミオカンデ、それを格段に高性能化したスーパーカミオカンデの話もでたが、そのカギとなる超大型光電子増倍管で、浜松ホトニクスは資金不足の東京大学に、まるで奉仕をしたようなものである。まさしく人の役に立つ仕事を、それもノーベル賞に結び付くきわめて価値ある仕事を成し遂げたのであるが、広く長い目で見れば、自分たちの業にも役立つことを見事に実証したと言える。
   晝馬会長は、光というものを光子を中心にCGで原理から説明しながら、浜松ホトニクスが取り組んできている最新の分野について、雄大な構想を具体的な話としてざっくばらんにユーモラスな口調で示された。既に大きな成果が上がっているのが、PET(ポジトロン・エミッション・トモグラフィー)であり、宇宙の次ぎには人間に狙いを定めたのだ。この革新技術の医療機器、診断装置は、確実にガンなどの早期発見を大きく進歩させる。PETは開発しながら従業員の検診に応用して、着実に成果を上げた。高齢化社会において、早期発見、早期治療の重要性が非常に大きくなり、それに大きく寄与するのがPETである。このPETの次なる課題は脳であり、アルツハイマー病の診断、治療に大きく寄与していく期待がある。ガンもアルツハイマー病も治療には革新的な医薬品が必要であるが、浜松ホトニクスとしては医薬品メーカーとの共同開発を進めたいとの強い願いを述べられた。
 そして光の応用は植物に広がっている。浜松ホトニクスは早くからイネのレーザー光による工場栽培を行ってきており、わずか三カ月という短期間での収穫の成果を上げている。ユニークな植物工場の可能性を示しているのであるが、そのエネルギー源としてレーザー核融合の開発に挑戦しており、その原理から始めて仕組みを詳しく述べられた。晝馬会長は、各分野の最先端の主要な研究開発を自らが総リーダーとして進められているのであり、したがって開発に関する説明がとても具体的である。この植物工場の実現にはいまの電力よりはるかに低廉なエネルギーが不可欠であるが、それを核融合で得ようというものである。さらにイネなど食料ばかりではなく、植物を膨大な量で生産して、それを用いて石油代替物質や工業原材料までも植物工場で作り出そうという。日本が資源を作り出すことができるというのである。もっとも、核融合は実現するとしても今世紀の後半といわれるが、晝馬会長のレーザー核融合にかける夢は限りなく大きい。
   その夢と現実のビジネスが調和しているのが、浜松ホトニクスの凄いところである。夢に挑戦して、また人に役立つことをモットーとしていて、長年にわたって赤字を出さない経営を達成しているのである。その凄さを、豪快な晝馬社長は何事もないかのように見せる。光の無限の可能性を信じて、それを切り開いて行く堅実な手段が、光産業創成大学院大学の創設である。浜松ホトニクスの社会貢献の一端として、浜松市に設立したのだが、晝馬社長が理事長を務めており、ニーズ、シーズの融合と起業実践を謳っている。
   中央研究所の見学では、極微小な光の検出、レーザー光通信、光コンピュータなど多くの基礎的な研究を見せていただいたが、光技術にはさまざまな可能性があることが実感できた。光産業の輝かしい将来を知ることができた一日であった。

森谷正規

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