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半導体・液晶の最先端製造技術開発と独自の技術革新

と   き:2007年5月23日(金)
訪問 先:東京エレクトロン株式会社 山梨事業所
講  師:代表取締役会長 東 哲郎氏
コーディネーター:相馬和彦氏(元帝人(株)取締役 研究部門長)
 

 2007年度前期「異業種・独自企業研究会」の第3回例会は、山梨県韮崎市にある東京エレクトロン㈱山梨事業所を訪問した。事業所の敷地は周囲を山に囲まれた甲府盆地に隣接しており、事業所からは、まだ冠雪の残る富士山が驚くほど高い位置に息を呑むほどに美しく遠望出来た。
 当日の講演は二部構成で、前半は久保田正男取締役・常務執行役員から東京エレクトロンおよび山梨事業所の概況をお聞きし、後半は東哲郎代表取締役会長より、「半導体・液晶の最先端製造技術開発と独自の技術革新」と題した講演を戴いた。
 半導体業界は景気の変動が大きく、上位企業の入れ替わりも激しいとは聞いていたが、具体的な事実を目のあたりにして、改めて、この世界の事業の厳しさを感じることが出来た。
 同社は1963年に日商岩井より独立して創立され、最初は専門技術商社として活動していたが、当初から技術者を海外留学に派遣していたため、留学生が帰国後技術の核となって、商社からメーカーへと脱皮を遂げた。
 その後1995年に海外進出を決めたが、その際に代理店を使わずにすべて自社で手掛け、情報・サービスの質を高く維持しようとしたことが、その後の東京エレクトロンの決め手となった。
 この時期から、それまで半導体生産で世界を支配していた日本メーカーの地位が低下し、代わって米国・韓国・台湾などの半導体メーカーが台頭したのにタイミングが合い、海外での売上が大幅に伸びて業績に貢献した結果、今日のようなグローバル企業へと脱皮出来た。1995年当時は日本の売上比率が66%、アジア25%、米国7%、欧州2%であったが、現在では日本は27%に過ぎず、アジア50%、米国16%、欧州7%となっている。
 同社の2007年度3月期の売上は8,519億円、経常利益は1,439億円であり、従業員は国内約6,000名、海外約3,000名の合計9,528人である。売上利益率では17%とエレクトロニクス業界では極めて高く、米国の優良企業並に達している。これは、東会長が1996年の社長就任時に制定した基本方針が周知徹底しているためであろう。その基本方針は、①顧客満足の追求、②地球規模でのテクノロジーリーダーシップ、③若い活力に満ちた企業家精神、により、「利益志向の経営」を行うということである。具体的には、市場シェアーを最低50%は取り、世界No.1を目指すことが徹底された。1990年~2006年の期間、半導体メーカーではIntelのトップ以外は激しい順位入れ替えがあり、半導体装置メーカーでも順位の変動が多かったが、東京エレクトロンは装置では終始トップかNo.2を維持し続けてきたことは、まさに経営力の強さを示している。個別装置のシェアーでも、コーター/デベロッパー、プラズマエッチング、熱処理製膜装置、枚葉製膜装置で世界No.1、洗浄装置、ウエハープローバで世界No.2を維持しているのは、誠に見事としか言い様がない。
 技術革新の早い業界でトップを走るために、2008年時点で研究開発に620億、改善・改良研究に200+億を投入し、技術開発費合計で売上の11%を投資している。
  経営方針だけでなく、経営手法も極めて透明度が高くグローバル化されている。コーポレートガバナンスが徹底されており、取締役会と業務執行体との分離、社長報酬の報酬委員会による決定、代表取締役の個別報酬開示、取締役の指名委員会による推薦、利益の配当・報酬への還元など、国内でも最も進んでいると言えよう。こういう施策は、「会社は株主のもの」であるが、「会社は顧客・従業員・地域社会のため」にあるという基本的な考え方がスジとして通っているからこそ、機能しているのであろう。米国では「会社は株主のもの」という考え方が過度に追及され、様々な歪みが噴出して従業員のモラルが低下していることを思うと、株主とステークホルダー双方の利益のバランスを巧に取っているこの経営手法はもっと普及して欲しいものである。
 東京エレクトロンは工場を中心とした5つの事業部、営業・サービス本部、技術開発本部という7つの組織体の集合として運営されており、かつ事業部は別会社となっている。そのため個別の意思決定は迅速に行われているが、他方事業部毎の競争による壁が存在しないか気になった。実際の商売では、どの事業部でも単独では商売が出来ず、事業部と営業・サービス本部がマトリックス組織として機能しないと商売が出来ない仕組みとなっているので、壁は防げるとのことであった。経営方針および経営手法のいずれも、単なるお題目ではなくそれが現場で実行されるために、社員の心理や感情にまで踏み込んだ行き届いた配慮がなされていることに強い印象を受けた。
 このことは講演終了後のパーティー終了前に、東会長の突然の発案で出席幹部一人一人がショートスピーチをすることになった時、幹部の方々の発言内容、又その姿勢からも明瞭に窺えた。お一人お一人が個性溢れたユニークな発言をされたが、実に明るくオープンな発言であり、これぞ東京エレクトロンの明瞭闊達な文化の証明であると思われる内容・姿勢であった。まさに東会長が目指さしている「夢と活力に満ちた会社」がそこに示されていた。(文責 相馬和彦)
 

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