第1章

トヨタHV車開発の軌跡

瀧本正民氏

トヨタ自動車㈱顧問 元代表取締役副社長 研究開発担当
瀧本正民氏


まえがき

トヨタのハイブリッド車開発の歴史

初代プリウスの誕生

HVの普及をめざして

トヨタウェイについて

ハイブリッド車の現在とこれから

おわりに


初代プリウスの先行開発


元トヨタ自動車㈱HVシステム 先行開発業務担当
慶應義塾大学大学院教授 佐々木正一氏 2013年12月19日


ご紹介を兼ねて 瀧本正民氏  

130年間、基本は変わっていない自動車

自動車は「擦り合わせ型ものづくり」の典型

多くの産業・企業によって支えられ、成り立っている自動車メーカー


はじめに

佐々木正一氏
電気が私の出自、排気から電気自動車へ

トヨタプリウスの技術概要

トップが決断した2つの原動機を搭載するハイブリッド車の方向

圧倒的に高い燃費が得られるハイブリッドカー

天の時を得たわれわれのプリウス開発

シリーズパラレル方式を選んだ理由

プリウス・トランスミッションの構造と機能

長期的ビジョンに基づくトヨタの技術開発の節目となる車

コンピュータの塊のようだった当時のハイブリッド試作車

試作車開発前に現れた様々な課題と克服

プリウスの誕生を可能にした周辺技術の発展・進歩とトップ層の決意


プリウスの開発風土

各部署からアサインされて来た多様で高い能力に秀でた精鋭

大きな役割を果たしたチーフエンジニアのリーダーシップ

開発途上で迫られた技術的挑戦とプロジェクト成功の基本的要因

プリウスの開発を成功に導いたトヨタの企業風土


エコカーの将来技術

将来有望なプラグインハイブリッド車

圧倒的に優れた燃費を持ちながら、大きな課題を抱える今日の電気自動車

エネルギーは今後どうなるか

電気駆動の時代に求められる技術

 モーター・インバーターの小型化、非接触給電、電池の長寿命化と安全化

 地域のトータルエネルギー・マネジメント・システムの構築

 ○炭化ケイ素系素材

 ○走行中非接触給電

 ○電池性能・価格の画期的向上

 ○地域のスマートグリッド網との一体化

 ○燃料電池の小型化による電動トラックの可能性


Q&A

ハイブリッドカーの寿命と電池交換を含めた総経費

精鋭集団による開発陣の人数はどのくらいだったか

ハイブリッド・コンセプトの誕生の真相

世界初の挑戦に参加していることで持っていた気概

プリウスのチーフエンジニア選任の決め手

車全体の擦り合わせ経験と広いマネジメントのベース

ハイブリッド駆動採用の理由は、走行状況への応変の対応

家庭での充電にまだ問題があるプラグインハイブリッド車

お手本のない、全てゼロからの研究開発で、目標値は如何にして設定されたか

これまでと全く違う新車投入に不可欠だった故障検知システム

多様な考えを持つ人々を結集させた、確固としたトップの意思

既に使われているF1レーシングにおけるハイブリッドシステム

電気自動車の時代になっても残る 摺り合わせ技術

燃料電池自動車と水素ステーションはニワトリとタマゴの関係

やっとわかった、トヨタがハイブリッドで他に先んじた理由

トヨタを救った異端児といわれた役員 塩見正直の先見の明


第2章

プリウスⅡの開発と新たな試み

トヨタ自動車㈱ 車両技術本部 先行車両企画部 主査 井上雅央氏 2004年4月20日


井上雅央氏
開発コンセプト/ドライブが気持ちよく、世界一の環境性能を持つ車

チャレンジした4つの革新

 1・動力・運動性能の革新

   ○ハイブリッド・シナジードライブ

   ○軽量化と低重心、電子制御で挑んだ車の走行安定性能の向上

 2・スタイリングとパッケージの革新

   ○空力に優れ、10年は古くならないシンプルなデザイン

   ○カローラ並の全長で、カムリ、ウインダム並の室内容量

 3・ヒューマン │ マシン・インターフェースにおける様々な革新

   ○ユニバーサルデザイン

   ○世界初の電動インバーターエアコン

 4・環境性能の更なる革新


常に車と共にあったわが人生

小学校4年生で覚えた車の運転、5年生のときに自作した電気自動車

いつも頭の中は車で一杯だった中高生時代からトヨタ入社後の青春時代

並外れた車好きということがプリウス担当に呼ばれた原因?


プリウスⅡ 誕生の経緯

私の使命はプリウスを何としても普及出来る商品として完成させること

決めるのはお前だ、困ったことがあったら言ってこい

売ろうとしている人間が分かってないんじゃないか!(豊田章一郎名誉会長)

トップの強い指示で達成した2年前倒しの原価低減

最後の一筆が大切、体感上の性能を向上させる

ニューヨーク・オートショーで実現したインパクトあるプリウスⅡの発表

2003年NYオートショーに出展のプリウスⅡ

プリウスⅡに寄せる章一郎名誉会長、張社長の熱い思い

発売2カ月後には、半年以上待っていただく状況に


私の職歴

ボディ設計で長い経験を積んで


Q&A

2分の1にコストダウン出来たプリウスⅡのハイブリッド
システム

プリウスⅠから考えていたバッテリーのリサイクル

GMは独自路線、フォード・日産とは提携が進んでいるハイブリッドシステム

専門化の進展で全体を見通し難くくなってきた今日のチーフエンジニア

目前の仕事が優先され、人を育てる観点で仕事が与えられない今日の風潮

歴史と風土、文化的バックグラウンドと車の個性

長い歴史と風土の中で育ってきたヨーロッパ車の味の卓越さ

日本独自の味と言われる車を生み出せないか

ヨーロッパにも見えて来ているハイブリッド車の可能性

未来を感じさせるフレーバーを人と車の接点で感じさせる

名誉会長が言いたかったのは、地に足がついた感覚を持てということ

環境+燃費+αの魅力をハイブリッドカーに

残念だった消化不良を残した外観のアピアランス

ヨーロッパ車にはなぜ何年経っても飽きない車が多いのか

bBで、トヨタはワクワクする車づくりへの風土改革に踏み切った

プリウスは期待通り、メインターゲットにしたユーザーに売れたか

車の成功要因はやっぱりデザインと値段


第3章

トヨタのグローバルビジョン、その実現を支える現場力

トヨタ自動車㈱ 専務取締役 松原彰雄氏 2004年11月18日


松原彰雄氏
2010年グローバルビジョン

 2005年で掲げたビジョン・ハーモニアスグロース

 2010年グローバルビジョンの背景にあった3つの思い

 2010年グローバルビジョンの位置づけと目的

  21世紀前半に予想される4つの社会の到来とトヨタの企業イメージ

   ○再生・循環型社会の到来

   ○ユビキタスネットワーク社会の到来

   ○地球規模でのモータリゼーションの進展

   ○多様な国籍と異なる文化を持つ人々が敬愛し合って交流し合える世界

復元された豊田佐吉の生家に掛かる掛け軸

  具体的事業展開におけるトヨタのビジョン

   ○地域軸ビジョン

   ○機能軸ビジョン


トヨタウエイ

2001年に初めて明文化されたトヨタウエイ

 トヨタウエイの2本の柱

 -耐えざる知恵と改善、人間尊重-

   ① チャレンジと ② 改善

   ③ 現地、現物

   ④ 人間尊重

   ⑤ チームワーク


現場力

敗戦の中で身に沁みて知った、
   「唯一の資源は人、これが今日の現場力の源泉」

現場力を生み出す人材育成の軸

 OJTが人材育成のコア

 OJTは問題解決的な思考がベース


グローバル化への対応

急速なグローバル化の進展とトヨタのグローバル人材育成

トヨタウェイの実践者育成の場 トヨタインスティテュート

振り返って

豊田佐吉の生家に掛かる掛け軸 百忍千鍛事遂全


まとめ 

放送大学名誉教授 森谷正規


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