第1章

私の体当たり海外市場開拓

当時 (株)資生堂 国際部美容課長 永嶋久子氏


永嶋久子氏
プロローグ

アメリカでのチャレンジ、私たちが信じた真のサービス

 アメリカで大成功を収めたスキン・アナライザー

   ●プロモーションでの〝おまけ〟をやめる
   ●はじめて感謝された美容コンサルティング

技術の時代とは、人の在りよう、人間性、人の心が問われる時代

海外販売で不可欠な、商品が持つ国と文化のアイデンティティー


一人で降り立ったニューヨーク

日本人もお化粧するの? 言葉の不自由なアメリカでの涙の奮闘

米ニューヨークメーシーズでのプロモーション
(1958年)

私たちも現地の状況がまったく分っていなかった草創期

 色のキャパシティーが狭い

 クリームのビンの蓋が開かない

 口紅の先がすべて落ちる

直ぐに品質を実感していただけない化粧品販売の難しさ

少しでも他社とひと味違ったサービスと心づかいをと...

当時の日本企業の果敢な挑戦と血の滲む努力

 味噌や沢庵にガスマスクが必要といわれた時代

 戦後初期 海外市場開拓者の血の滲む努力

私のアメリカ市場開拓草創期

 地に落ちた現場のリーダーシップ

 言葉のハンデを乗り越えようと、必死に尽くしたお客さまへの対応

取り戻したリーダーシップ

 アメリカ人のバイヤーが勇気づけてくれた言葉

チャコ、通じ合うって言葉だけじゃないよ。だから大丈夫!


アメリカ市場開拓第二幕

言葉も出来ずに、みんな一人で現地に赴いていった美容部員

 プリーズ プリーズ! ケネデイ・エアポート

大寒波のニューヨークでタクシードライバーに手を合わせた彼女たち


フランス デビュー

ハイ・クオリティー、ハイ・イメージ、ハイ・サービス

フランス進出を機に、資生堂が開発した国際商品

イメージ・クリエイターをフランス人に

日本の美意識と文化、ハイテクで訴えた資生堂のアイデンティティー

 通訳が間に入ると一品も売れなかった初日と二日目

 やっとフランス人の心を動かした通訳の方の努力

 チームワーク

 いつも用意された綺麗な鏡

 フランス人に伝わった資生堂が目指す美と技術

思いも寄らない心遣いを示してくれたフランスの仲間たち

心と誠意が伴えば必ず通じる


エピローグ

インターナショナルとは何か

インターナショナルな人間であることの基本的素養

何度も受賞したオスカー、それ以上に大切な〝人の手〟と〝人の心〟

完ぺきな仕事の仕上げ


Q&A

アメリカ人スタッフと美容部員の二人三脚

これは一人の優れた人間の成功物語

海外で、自分の判断尺度で律しかねない危険

世界の肌の六つのタイプ

第2章

危機感が生んだ既存事業の革新「アタック」、
新規事業の開発「ヘルシア」

元 花王(株) 取締役 研究開発部門統括 村田守康氏


村田守康氏

丸田社長が断行した経営の基本骨格の大改革

 販社による直販体制

 研究開発体制の強化

 トップ直結運営、新商品開発・新技術重視、研究員の教育・育成重視

 物流・生産の合理化

 コスト削減の全社組織をあげた継続的取組

新しい消費者価値を持った商品の継続的開発

   ー既存の分野でも工夫すれば、売上は倍になるー


既存事業の革新 — 酵素入り・超コンパクト洗剤アタックの開発

アタック開発の動機 — 多くの失敗を経験して

 アタック着想の背景

 トップブランド ライオンの「トップ」を如何に超えるか

アタックの開発

 些細な改良では消費者には通じない!

洗剤で一番大切な機能=洗浄力の根本的改善

 新しい洗浄メカニズムの着想

   ー泥ネギは一皮剥けば綺麗になる」がヒントー

野生株アルカリセルラーゼの発見と工業生産

アルカリセルラーゼの洗浄メカニズム

   ー繊維の奥から汚れを取り出すセルラーゼー

重要技術 洗剤粉末濃縮化技術開発のブレークスルー

アタック上市への懸念と結果

ヘルシアの開発

   ーコンパクト化の実現、「スプーン一杯で驚きの白さに!」—

  世界の粉末洗剤の標準を創った誇り

アタックの開発・上市に至った過程

 帰りの電車の中で思いついたセルラーゼ

   ー専門外の分野が新しい着想を教えてくれる!—

非常識の着想「セルラーゼで洗う」が実現した画期的洗浄力

三研会議に本格的開発の場を移す

合宿で、丸田さんと膝を交えて話し合えた楽しかった時代

洗剤事業の軋轢の中で、即効を狙わず正論を選ぶ

   ーこれが後に驚くべき成功につながる—

今、振り返って...


新規事業の開発〝ヘルシア〟

企業成長のための新事業分野の創成、花王のコアコンピタンス

脂肪を燃焼しやすくする緑茶飲料ヘルシアの着想と開発経緯

 失敗から学んだ新事業分野の開発ターゲット

   ー健康効果を訴求できるスペシャリティーあるもの—

 潜在ニーズの仮説とマーケットの大きさ、新事業要件

 見えて来た新商品のコンセプト、モノ、ターゲット

 新健康飲料の新市場創造

いくら革新的でも単品では事業にならない

最大の懸案 ヘルシアは花王のコアとなれる商品か


アタックとヘルシアの開発に走らせた動機は危機感

新しくもう一度!

Q&A

薄皮を剥ぐという、これまでになかった洗濯原理に不安はなかったか

異論や迷いがあったために見落としを免れた、という例があるか

新分野進出の研究体制

透明性の高い事実開示が何よりの誠実さの証

当時のマスメディアと世論の大勢

自分が持つ開発テーマを如何にオンザテーブルに持ちこむか

販社の役割と力

技術が先か、新製品が先か

現状を打破する方向・技術を問うのが大切

アタックとザブはどう違うか

ヘルシアの特許はどうなっているか

第3章

やってみなはれが生んだ青いバラ

現在 サントリーホールディングス(株) 常務執行役員 辻村英雄氏
現在 サントリービジネスエキスパート(株) 植物科学研究所長 田中良和氏


辻村英雄氏
サントリーの歴史は挑戦の歴史(辻村英雄)

赤玉からウイスキー

ビール事業への挑戦

失敗の責任は問わない

利益三分主義


青いバラの創出にかけた夢(田中良和)

花事業のはじまり

 最初の商品サフィニア

田中良和氏

 花事業の発展

 花事業の成功の陰にビール事業

 海外でも愛されるサントリーの花

不可能の象徴 青いバラ

青いバラの開発

 青いバラにかける想い

 青いバラや花のエピソード

花の色が決まる仕組み

 成分の構造で色がきまる

 花の女王バラの歴史

青いバラ

 青いバラがない理由

 青い花を作る原理と技術課題

青いバラプロジェクト開始

 オーストラリアに派遣

 多民族企業

 研究開始

 Florigene 社の一日

 Florigene 社の研究体制

 青色遺伝子の取得

 世界で同じことをやっている人はいる

青いカーネーションの開発

 植物に遺伝子を入れる カーネーションの場合

 カーネーションの色が変わる

 ムーンダストの誕生

苦難の時期

 度重なる資金難

 青くならないバラ

青に向かって

 デルフィニジンができた!

 R&D重点プロジェクト

 青いやないか

青いバラを世の中に

 広報発表

 青いバラへの世の中の評価

次の目標

販売を目指して 認可取得

生産と販売

 世界に青い花を


今後の展望(辻村英雄)

Q&A

途中でやめろという話は出なかったか

一番苦しかったのはどの当りか

研究費はどのくらいかかったか

もっと青くなる可能性はあるか

花の色にはどのような意味があるのか

遺伝子を組み換えると花以外の性質も変化するか

青いバラやカーネーションの増やし方

学生時代、どんな学生だったか

最近のおすすめの花は?


まとめ 

放送大学名誉教授 森谷正規


資生堂 永嶋久子さんの体当たり海外市場開拓

花王のアタックとヘルシア

サントリーの青いバラ

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