第1章

リチウムイオン電池の基本概念の確立、その実用化開発への夢と苦闘

吉野 彰氏


はじめに
吉野 彰氏
リチウムイオン電池の概要

開発が難航していた非水系二次電池

リチウムイオン電池の数多い優位性


研究開発の3つのステ-ジ

①スタートは白川博士による導電性高分子ポリアセチレンの研究

②少しずつ材料研究から新型二次電池へ開発移行

  -負極にポリアセチレン、正極にリチウムイオン含有金属酸化物に辿り着く-

③負極はカ-ボンへ材料転換


これまで新型二次電池の誕生を阻んで来た最大の問題点が安全性

鉄球を落下させて発火実験

開発になったリチウムイオン電池の
プロトモデル(1985年)

事業化戦略の策定で喧々諤々の2年間

-東芝とのジョイントベンチャ―で事業化-


リチウムイオン電池を開発できた成功要因

15年先を見通したわけではない

未来からのシグナル

 ソニ-の8ミリビデオに遭遇

 ソニ-幹部との宴席で交わした、
     茫漠としたIT時代の予感

   ♢話題1 これからの社会で重要になって来る三種の神
   ♢話題2 これから消えていく3種の鈍器
   ♢話題3 酩酊状態の中で出たコ―ドレスとワイヤレス

銀塩フィルムを消すことになった写メール


リチウムイオン電池の開発経緯と特許

特許出願の恐ろしさ

   ― 本来ならLIBの基本特許は東レか三洋化成 ―

   ♢私も特許に入れてしまった余計な言葉で大失敗神

悪魔のサイク

「複数の基本特許」と「関所特許」

   ― 不本意ながら、うるさく言われて書いた特許がリカバリ―ショット―

寝耳に水、飛び込んで来た゛ソニー LIBの商品化に成功″のニュース


リチウムイオン電池の開発・事業化過程で出会った人々

第2の波へ進むリチウムイオン電池

ITとは構図が大きく違う電気自動車

22.5円の持つ大きな意味

自動車と定置型蓄電池

東日本大震災で大きく変わる今後の動向

1995年当時と酷似する今日

-大変革の時代の予感-


Q&A

旭化成・東芝のジョイントベンチャー失敗の教訓は何か

材料の評価が開発に大きなプラス

大きな力をつけてくる材料メーカー

日本は川下に遅れているのが問題

事業化方向の決定はどのようになされたか

充電の技術開発が今後二次電池の発展のカギ

燃料電池とリチウムイオン電池

中国に今後いかに対応すべきか


第2章

盛田会長のビジョン、大賀社長の期待を担ってスタートし

ソニーの独自技術 リチウムイオン電池の商品化開発

西 美緒氏


西 美緒氏
まさか、電池開発をやるようになろうとは

時代は乾電池(一次電池)から二次電池へ

 -盛田会長からかかった号令 世の中にない二次電池をつくれ-

志と違って燃料電池の開発をやる羽目に


燃料電池から音響材料という未知の分野へ

ウイルスを見習え


再び新型高性能二次電池の開発へ

盛田会長の一言でリチウムに取り組む決意

「死の谷」よりも怖い「止の谷」

   ♢何が「止の谷」をもたらすのか

電池開発の困難さ

開発を加速するための様々な工夫

難しいリチウムを何とかして負極に使いたい

ブレークスルーへの閃き! 後のリチウムイオン電池の基本原理

   ♢-残念の極み! 二ヶ月違いでグッドイナッフが正極にコバルト酸リチウムの特許-

後にグッドイナッフも認めたソニーのオリジナリティー


ソニーが商品化した丸形リチウムイオン電池

失敗を乗り越えて発売、爆発的ブームへ

 大きな助けとなった音響機器時代の経験

 かけがえのなかった音響機器時代の人間関係

   ◇クレハとソニーを娶わせたモーツァルト

   ◇セパレーターで札幌時代の縁が甦る

 量産炉で焼いたハードカーボンに性能が出ない

 8ミリビデオの発売に間に合う、パソコンでブレーク

リチウムイオン電池黎明期の仲間たち

「止の谷」に阻まれて市場参入出来なかった角型電池

品質・安全性意識と生産効率・コスト意識の相克


リチウムイオン電池は今後いかに発展するか、材料に見る可能性

正極においてもさまざまな可能性を探る

セパレーターに重要なシャットダウン温度とブレークダウン温度

電解液に重要なSEI膜の形成


終章

上司に隠れて開発していたポリマーバッテリー

韓流はドラマだけではなかった

自動車用でさらに強く求められる安全性

入念な安全試験とエイジングによる安全性の確認

小説『ロスト・ワールド』で注目されたリチウムイオン電池

リチウムイオン電池への思い入れの強かった大賀社長、その後の中止決定と再開

研究開発はジョーズ


EVはこれからどうなるか

 -大きな課題は充電-


政府の支援が米国、中国に大きく劣る日本

棚ボタを逃さない

Q&A

遠距離は電気自動車ではなくハイブリッド車か

過充電をいかに防ぐか

海外へのノウハウ流出をいかに防ぐか

材料のリサイクルを進める

上司からトップを納得させる説得力

素材メーカーを見る視点、選択基準

日本のリチウムイオン電池に関わる基礎研究はどうなっているか


第3章

世界初 EV用高性能リウムイオン電池システムの研究開発

 ー自動車の革新を超えてー

堀江英明氏


堀江英明氏
はじめに

電気自動車/HEVとは

二次電池の歴史

EV用電池の研究開発
電気自動車/HEVとは

EV開発への誘いを受けて参加

   ー研究所長の雄大なビジョンと度量、直属上長の的確な指示と新鮮な示唆ー

世界初 EV用超急速充電技術の研究開発スタート

   ー鉛酸電池とニッケルカドミウム電池ー

思わぬセルの急激な温度上昇と電圧0V

車載用リチウムイオン電池とEVの構造図
世界初 冷却機構搭載EV試作

電池開発はシステム・デザイン

世界初の大型充・放電装置の構築に着手

組電池の評価装置が世界に全くなかった時代

世界初 EV用高性能組電池の開発に挑戦

世界初 高性能大型組電池評価装置の完成


高性能組電池(高容量、高出力)研究開発への挑戦の発端

中川良一顧問が端緒を開いて下さった

ソニーとのEV用リチウムイオン電池の共同開発

日産・ソニーとの間で始まった共同研究

EV用リチウムイオン電池の概要


高性能組電池の研究とシステム構築

コントロール困難な化学反応を制御しなければならない組電池

全セルデータ取得技術の創出

組電池用セルコントロール技術の創出

EV用リチウムイオン電池技術の完成


リチウムイオン電池の高出力化への挑戦

確信していたリチウムイオン電池の可能性

手掛かりを得た高エネルギー・リチウムイオン電池へのカギ!


個人研究として取り組むことになった高出力リチウムイオン電池の開発

大出力を取り出す重要関係式の発見、明確に見えた出力向上の道筋

到達した仮説をもとに、ソニーにHEV電池の試作を依頼

界初 リチウムイオン電池によるHEVの可能性の証明と、
 世界に先駆けたプラグインHEV、フルHEV電池システムの創出


起死回生となった馬来研究部長の支援、ゴーン新社長から出たゴーサイン!

   ーぎりぎりで技術の命脈を繋いだ日産のEV用リチウムイオン電池ー


世界のEV用リチウムイオン電池を先導して来た日産の挑戦と実績

情報とエネルギーの限りない融合:高性能二次電池と新社会システムの構築

   ーエネルギーのタイムシフトとネットワーク化ー


二十一世紀は二次電池を核とした/b>

情報とエネルギーの新たな融合・ネットワーク化の時代

人類の未来に新たな調和を求めて

Q&A

大型定置用二次電池におけるリチウムイオン電池の可能性はどのようなものか

今から検討すべき、巨大化する有機物使用二次電池の信頼性


まとめ 

放送大学名誉教授 森谷正規


旭化成とソニーの大きな相違に目を向ける

遅れてスタートしたソニーが旭化成に一歩先んじたのはなぜか

今の日本は、「成功が失敗のもと」がいくつもある

リチウムイオン電池の本質の良さを見抜いた

専門が異なれば研究への姿勢が異なるのを活かす

技術開発を論理立てて、経営者に決断を迫る

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